シャトー案内

Ch Clos Fourtet
シャトー・クロ・フルテ
| 生産地 | サンテミリオン地区 |
|---|---|
| セカンドワイン | ラ・クロズリー・ド・フルテ |
| タイプ | 赤/フルボディ/フルーティで香り豊か |
| 格付け | サンテミリオン1級B |
| 栽培品種 | メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン |
各ワイン評論家からの評価(★1点/☆0.5点)
| ロバート・パーカー (第4版) | ★★(2点/4点満点中) |
|---|---|
| ヒュージョンソン (第5版) | ★★★(3点/4点満点中) |
| ル・クラスモン (2006年度版) | ★★(2点/3点満点中) |
| ゴー・ミヨー (2006年度版) | ★★★★(4点/5点満点中) |
かつて名門シャトーと呼ばれていたシャトー・クロ・フルテですが、第2次世界大戦後、その評判もどん底まで落ちてしまっていた時期がありました。失った名声を取り戻すために尽力したのが、1949年にこのシャトーを購入した、ボルドーで数々の名門シャトーを経営しているリュルトン家でした。
現在の【シュヴァル・ブラン】【ディケム】の総責任者であるピエール・リュルトン氏とその父であるドミニク・リュルトン氏は、1970年から数年間に渡るブドウの植え替えや醸造の改革を行い、ついに過去の名声を取り戻すことに成功したのです。
シャトーはサンテミリオン村のすぐ隣にあり、有名な“粘土質石灰岩”の上にブドウが植えられています。地下の石切り場跡のカーヴは、ところによっては3層にもなっているというのですから、その設備にも驚かされます。
クロ・フルテのワインは、若いうちは非常にタニックで飲みにくいのですが、熟成を経るにつれて口当たりが良くなり、果実味などの香りが開いてくると言われています。オールド・ヴィンテージとしては比較的お手頃な価格帯ですので、初心者の方はここから飲み始めてみるのも良いでしょう。
シャトー紹介・醸造工程
“サンテミリオンの台地”の頂点に

- クロ・フルテのシャトー

- シャトーはサンテミリオン村のすぐ隣にあります。とても素敵な景色ですね
サンテミリオン村を頂点として、この地区に13ある1級シャトーのうちの11シャトーが集まる“プラトー・ド・サンテミリオン(サンテミリオンの台地)”。その内の一つクロ・フルテも、ちょうどこのプラトーの上、しかも最も頂点のところに位置しています。
サンテミリオンの教会のほぼ正面にあるこのシャトーは、合計「18ha」のブドウ畑を所有しています。その畑はシャトーの周りに集まっていて、プラトーの下部に向かって緩やかに傾斜しています。
畑の大部分は、プラトー・ド・サンテミリオンの特徴でもある、上部に薄い粘土の層がありその下は粘土質石灰岩という土壌となります。当然、粘土質石灰岩があるプラトー部分には、その土壌と相性の良いメルローが植えられています。クロ・フルテの畑は、大部分がプラトーにあるため、メルローの比率は85%にも達するのです。
プラトー下部の畑は砂質であるため、ここにはカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランが植えられています。この2品種の全体に占める比率は、前者が10%、後者が5%。畑の平均樹齢は「約25年」とやや若めです。

- ここは“サンテミリオンの台地”の頂点のところ

- 丘の上部から下を見下ろした風景です

- ブドウ畑の表土は、砂利が混じった粘土質になっています
2層式のステンレスタンクを重視

- 案内してくれたマッチュー・キュブリエさん

- 容量の小さい2層式のステンレスタンク。タンク外側に凸凹がないことでも2層式になっているのが分かるのです

- タンク上部。開放口が大きいのが特徴。タンク内側に見えている線は温度調節のジャケット式ベルト(凸凹)があるため
クロ・フルテでは、ブドウは全て手摘みで収穫されています。収穫されたブドウは潰れないように、容量の小さい“カジェット”と呼ばれる収穫カゴに入れられて、醸造所まで運ばれていきます。
醸造所では、バイブレーター式の選果台を使って2回の選果を行った後、17基あるステンレスタンクと3基のフレンチオーク製のタンクに入れて、約3~4日間、15℃前後で低温マセレーションを行い、アルコール発酵を開始させます。
今回、私を案内してくれたオーナーのご子息であるマッチューさんによると、2001年にコンサルタントに入ったステファン・デュルノンクール氏から、“それまで使っていたポンプをなるべく使用しないように”というアドバイスがあったのだとか。そのアドバイスに従って、選果が終了した後のタンクへの搬入は、出来る限りポンプの使用を控えているのだそうです。
このステンレス製のタンクは、容量が大きいものが6基と、50hlと60hlと小さめのものが11基あります。容量が小さいものは2002年に導入したもので、2層式になっているため、空調設備がない醸造所でも外気の影響を受けにくいというメリットがあります。
また、上部の開放口が大きく作られているため、2002年から“ピジャージュ”と呼ばれる、アルコール発酵中に炭酸ガスによって浮き上がってきた粕帽を人力で果汁の中へ浸す作業を開始できたのだそうです。これを行うことによって、さらに色とタンニンの抽出が出来るようになりました。
フレンチオーク製のタンクも所有しているのですが、マッチューさんの話では、ステンレスタンクとあまり差が出なかったためそれほど重視していないのだそうです。木製タンクは30hlと容量が小さいこともあって、主にカベルネ種の醸造に使用しているそうですが、メルローも小さい区画のものは入れる場合もあるとのこと。
容量の大きいタンクは、現在ではブレンドや、収穫が多くて小さいタンクでは足りなかった場合に使用するということですので、やはり最も重要視されているのは、2002年に設置された2層式のステンレスタンクなのでしょう。

- 3基だけあるフレンチオーク製のタンク。温度管理が行えるように、内部にそのシステムが設置されています

- 容量の大きいステンレスタンク。こちらは2層式ではなく、活躍の場が少ないのだとか…

- 垂直式の圧搾機。「空気圧式よりも性能はいいし値段も安い!」とマッチューさん
新しいテクニックも取捨選択して導入

- 垂直式の圧搾機。「空気圧式よりも性能はいいし値段も安い!」とマッチューさん
アルコール発酵、果皮漬浸は合計30日。それが済むと、発酵タンクの隣の部屋にある、空調設備の整った樽貯蔵室に移されマロラクティック発酵を行います。それが終了した後、試飲を行い、必要であれば澱引きを、必要が無いと判断したら澱を残したままでシュール・リーを行います。シュール・リーの作業中には、樽の底に溜まった澱を攪拌するバトナージュも行っています。その後、定期的に試飲することで、いつまでシュール・リーを行うかを各樽ごとに判断していくのだそうです。
マッチューさんの話では、これらの新しいテクニックも、ステファンがコンサルタントに入ってから導入したものなのだとか。
「ステファンは経験も豊富で、色々なシャトーのコンサルタントもしているから、アドバイスを受け入れることが多いんだ。でも、まずは全部試してみてから判断するようにしているよ。実際に、アドバイスをもらったのに敢えてやっていないことも結構あるんだ。例えば、ミクロ・ビュラージュは2001年と2002年に実験してみたけど、あまり効果的でないと思えたから止めてしまったしね。」
有名な醸造家のアドバイスだからと言って、そのまま全てを受け入れるのではなく、まず自分たちで試してから、自分たちの判断で決定しているようです。
試飲の結果によって決定されるため、一概には言えないのですが、ほとんどの樽は最初の5ヵ月間(もしくは6ヵ月間)はシュール・リーで熟成を行い、5ヵ月目(もしくは6ヵ月目)に最初の澱引きを行います。その後、ブレンドをして、地下にある石切り場の跡を利用したカーヴにワインを移し、約12ヵ月間の熟成に入るのです。
マッチューさんの話では、「ブレンドの時は非常に気を遣うよ。僕以外にも、クロ・フルテの醸造責任者、栽培責任者、ステファン、そして【ペトリュス】のジャン・クロード・ベルエも友達として来てくれてアドバイスをしてくれるんだ。」とのこと。
地下にあるため温度と湿度がほぼ一定に保たれるというカーヴで、ワインはゆっくりと熟成を続け、卵白を使用してのコラージュを行ってから瓶詰めされます。
熟成に使用している樽は合計3社から購入。メインの樽メーカーはタランソーで、全体の50%を占めるとのこと。あとはデントスとシルヴァンが半分づつ。すべてミディアムで焼付けを行っているそうです。

- クロ・フルテの地下の石切り場跡のカーヴへの入り口部分です

- 石切り場跡のカーヴ。ここで12ヵ月の熟成が行われます

- 樽以外にも、瓶詰めされたワインも保管されていました
改善の効果が表れる
シャトー・クロ・フルテは、先代のオーナーであったリュルトン家による醸造設備への投資、そして現在のオーナーであるキュブリエ家になってから、経験豊かなコンサルタントのステファン・デュルノンクール氏を招聘したことで、ブドウ畑・醸造方法が改善されました。
この効果は、品質が劇的に向上したことにも表れており、1級シャトーの本来の実力を取り戻し始めたと言えるでしょう。

- 過去のクロ・フルテのラベルがまとめて展示してありました

- ブドウ栽培者の守護聖人サン・ヴァンサンの木像です。ちょっと素朴な感じですね

- シャトーの方と一緒に試飲をさせていただきました
シャトーの歴史
改良を続けて
シャトー・クロ・フルテは、中世の頃には“カン・フルテ”と呼ばれ、サンテミリオンの町を守るための要塞だった。
18世紀の頃のクロ・フルテは、当時のシャトー【フィジャック】の所有者であったカルル家とルロー家が所有していたことで、その名前は知られていた。彼らは、当時はあまり良いものではなかったクロ・フルテの土地の改良を積極的に行った。その効果もあり、元々水はけの良かったこの土地は非常に良いブドウが取れるようになり、次第に良いワインが出来るようになっていった。
1949年、メドックで様々なシャトーを所有していたリュルトン家がシャトーを購入し、ブドウ畑とワインの品質向上に尽力した。
2001年、シャトーは現在のオーナーであるキュヴリエ家が購入し、現在に至っている。
シャトーデータ
主要データ
- Ch Clos Fourtet
シャトー・クロ・フルテ 33330 Saint-Emilion - http://www.closfourtet.com/
- 格付け
- サンテミリオン1級B
- アペラシヨン
- Saint-Emilion
- オーナー
- フィリップ・キュヴリエ

畑について
| 畑面積 | 21ha |
|---|---|
| 年間平均生産量 | 約8万本 |
| 熟成 | 地下のカーヴで14~18ヵ月 |
| 平均樹齢 | 約25年 |
| 植樹密度 | 約6,000本 |
醸造ついて
| タンクの種類 | 木製タンクとステンレスタンク |
|---|---|
| 新樽比率 | 約75~80%の新樽 |



