シャトー案内

Ch Cheval Blanc
シャトー・シュヴァル・ブラン
生産地 | サンテミリオン地区 |
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シャトー | シャトー・シュヴァル・ブラン |
タイプ | 赤/フルボディ/ エレガントな香りが特徴 |
格付け | サンテミリオン1級A |
栽培品種 | メルロー45%、カベルネ・フラン55% |
各ワイン評論家からの評価(★1点/☆0.5点)
ロバート・パーカー (第4版) | ★★★★(4点/4点満点中) |
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ヒュージョンソン (第5版) | ★★★★(4点/4点満点中) |
ル・クラスモン (2006年度版) | ★★★(3点/3点満点中) |
ゴー・ミヨー (2006年度版) | ★★★★★(5点/5点満点中) |
サンテミリオン地区では、【オーゾンヌ】とともに最高ランクの格付けを与えられていて、まさに双璧をなしているのがシャトー・シュヴァル・ブランです。伝説となった1893年、1947年を含め、歴史に名を残すような数々の輝かしいワインを作り続けてきており、サンテミリオン地区トップの地位にあることを疑う者はいないでしょう。
その美しい響きの名前は“白い馬”という意味。ラベルに誇らしく印刷されている金賞メダルは、1862年と1878年、パリのワインコンクールで獲得したものです。
シュヴァル・ブランは、長きに渡って同じ家族が所有し続けてきた、ボルドーでも数少ないシャトーの一つです。もともとは【フィジャック】の一部だったのですが、1832年にデュッカス家に16haの畑が売却されてから、デュッカス家が買い足していったものが、今日のシュヴァル・ブランの基礎となっています。
その畑は、ポムロールとの境界付近にある砂利地の一画にあります。“メルローよりもカベルネ・フランを多用する”という異例なブレンドから生み出されるワインは、「ボルドーで最も深遠なワイン」と評されるほどの極上品です。
また、あるワイン評論家が「三分の一がサンテミリオン、三分の一がポムロール、三分の一がグラーブ」と表現したように、エキゾチックなスパイス、超熟した黒系果実を思わせる華やかな香り、柔らかく滑らかな口当たり、ビロードのようなタンニンと完熟感のある強い味わいのバランスの良さは、このワインならではの魅力となっています。
ボルドー八大シャトーの中で“飲み頃の期間が最も長い”とも言われていて、若いうちから飲むこともできますが、カベルネ・フランの比率が高いため、瓶熟で年を追うごとに美味しさと深みを増していきます。シュヴァル・ブランの真の風格は、10年、20年と瓶の中で熟成させることにより現れてくるのです。
オールド・ヴィンテージワインでしか感じることのできない、まばゆいばかりのアロマ、絹のような舌触り、見事な味の調和の中にある深みと芳醇さ。まさに「深遠」と呼ぶに相応しいシュヴァル・ブランの真髄を、心行くまでご堪能ください。
シャトー紹介・醸造工程
同地区には珍しい砂利と砂質のテロワール
- シャトーの看板とシャトー
サンテミリオン地区では最上級とされる「第1特別級A」に格付けされているシャトー・シュヴァル・ブランは、ポムロールとの境界線付近の、“Les Graves de Saint-Emilion(サンテミリオンの砂利)”と呼ばれる地域にあります。
この一帯は、サンテミリオン地区の中でも珍しく砂利が多く堆積している土壌です。サンテミリオンのほとんどのシャトーがメルローを主体としたワインを作っているのに対して、シュヴァル・ブランなど、この地域のシャトーでは、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンといった品種を多く植えているのです。
この地域に関して、ブノワ・フランス出版社の『テロワール・アトラス』にはこのように記載されています。
この土壌は、ほとんどオー・メドックの土壌と-高い浸透性、細粒の土壌に砂が多いこと、泥土と粘土の含有がとても少ないことーが、たいへん似ている。もっとも大きな違いは、ここでは一貫して地下数メートルの深さに地下水がないということにある。通常、夏の初めは水の供給に支障はないが、乾燥した年には7月の終わりから容易でなくなることもある。春になるとすぐに暖まるこの土壌は、ブドウの成熟を早めるため、収穫開始日の選択が重要なものとなる。過熱となるケースも出てくるからである。
あまり肥沃でないこのタイプの土壌では、収穫量は概して少ない。ワインのアルコール度数は平均的で、総酸量は常に他の土壌よりも少ない。色はかなり濃いが、ph値が高いために急速に褪せてしまうことがある。礫質土壌のワインの主な長所は、熟成すると並外れた複雑さに成長する、豊かなアロマになる。ワインは口に含むととても長い余韻を感じさせる。
シュヴァル・ブランのシャトーへ行くと、入り口にはその土壌を表した模型があります。それを見てみると、確かに、畑の約20%は砂が多く混じり、錆色に赤茶けた砂利質、40%が砂利が混じった砂質、40%が下層に密度の高い青粘土があり、表土が砂が混じった粘土質と書かれています。
このことからも、水はけの良い土地を好むカベルネ種が向いているのだろうということは容易に想像できるのです。
また、傾斜角度は決して大きくはありませんが、ポムロール地区の境界線から、サンテミリオン地区のシャトー【フィジャック】の間は、まるで小さな丘のようになっているののも見てとれるでしょう。
醸造方法は極めてクラシック
- 収穫風景。除梗前の選果を行っているところです
- 一段高いところでまず選果を行い、手前に見える除梗機を通し、2回目の選果を行います
シュヴァル・ブランのブドウ畑は、合計「40ha」。55%のカベルネ・フランと、45%のメルローが植えられています。
ここでは、ワインの品質を高めるために非常に厳しい収穫制限をしており、「1ha当たり約35hl」という、信じられないほどわずかな量しか作らないというのですから驚かされます。
ブドウの収穫は全て手摘みで行い、収穫されたブドウは容量の小さいカジェットに入れられて醸造所まで運ばれます。収穫時期だけに設置される特設のテントで除梗前と後に選果を行い、醸造はコンクリートタンクとステンレスタンクで行います。
醸造に関しては、いたってクラシックな方法を守っていて、強いて特徴的な点を挙げるとすると、場合によっては低温マセレーションを行うということぐらいでしょうか。
その後、100%新樽の中で15~20ヶ月の熟成を行う間に、3ヶ月に1回の澱引き、卵白を使用してのコラージュを行ってから、自社製の瓶詰めの機械で瓶詰めされています。
- 除梗後の選果作業です
- シュヴァル・ブランのコンクリートタンク
- こちらは樽貯蔵室の様子。所狭しと樽が置かれています
サンテミリオン地区で異彩を放つシャトー
- シュヴァル・ブランのラベル
砂利および砂質のテロワールを所有するシュヴァル・ブランは、サンテミリオン地区ではひときわ異彩を放っています。この点だけでも自然と他のシャトーとの差別化になっていて、多くのワイン愛好家を魅了する、シュヴァル・ブランならではの味わいを生み出しているのでしょう。
隣のフィジャックの畑を買い取り、2014年ヴィンテージからは「ル・プティ・シュヴァル・ブラン」という白ワインを新たにリリース。500リットルの大樽で18ヵ月熟成が行われています。
シャトーの歴史
元はシャトー・フィジャックの一部
シュヴァル・ブランは、同じ一族が長きに渡ってシャトーを所有してきた、ボルドーでも数少ないシャトーのうちの一つだ。
1832年、もともと【フィジャック】の一部だった、建物を含む16haの小作地がデュッカス家に売却された。デュッカスは、すぐにこの地に小さなシャトー建て、さらに15haの畑を買い増した。この合計31haの土地が、今日のシャトー・シュヴァル・ブランの基礎となっている。
1854年、デュッカス家のアンリエット・デュッカスがジャン・フルコー・ローサックと結婚し、5haのブドウ畑がここに加わった。
1868年には、約70トノーのワインが生産されていた。また、恐らくブドウ畑の排水システムを最も早くに設置したシャトーの一つで、この頃にカベルネ・フランが植えられた。
1862年と1878年、ワインの品質の良さが認められて、ロンドンとパリで金賞を獲得している。すぐに、1級ワインとほぼ同等の価格で取り引きされるようになる。
家族経営が終わって
1893年、最良のヴィンテージとして名を残すほどの年だったが、ジャン・フルコー・ローサックが他界した年でもあった。彼には8人の子供がおり、シャトーはそれぞれに分割して相続されたが、そのうちの一人のアルベールが他の7人の相続分を買い取り、単独オーナーとなった。
しかし、彼にも合計5人の子供ができたため、彼が死去する前の1927年、シュヴァル・ブランを会社組織とした。1990年、フルコー・ローサックの孫娘であったブリジット・ハメルとマルティン・アルフィーユ、そしてフルコー・ローサック家の一人であったクロード・ドゥ・ラ・バールの3人が経営を引き継ぐ。
彼女達は1991年から、シャトーの経営をピエール・リュルトンに任せた。
そして1998年、シュヴァル・ブランはついにベルギー人の実業家であり、ワインのコレクターとしても知られたアルベール・フレールと、「LVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー)」の社長であるベルナール・アルノーの手に渡り、現在に至っている。
シャトーデータ
主要データ
- Ch Cheval Blanc
シャトー・シュヴァル・ブラン 33330 Saint-Emilion - http://www.chateau-cheval-blanc.com/
- 格付け
- サンテミリオン1級A
- アペラシヨン
- Saint-Emilion
- 総責任者
- Pierre Lurton

畑について
畑面積 | 40ha |
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年間平均生産量 | 約9万本 |
作付け割合 | メルロー 45% カベルネ・フラン 55% |
平均樹齢 | 約42年 |
植樹密度 | 約6,000~8,000本 |
醸造ついて
タンクの種類 | コンクリートタンクとステンレスタンク |
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樽熟成の期間 | 約15~20ヶ月 |
新樽比率 | 100%の新樽 |