シャトー案内

Ch Palmer
シャトー・パルメ
| 生産地 | メドック地区 マルゴー |
|---|---|
| シャトー | シャトー・パルメ |
| タイプ | 赤/フルボディ/果実味があり、まろやかな味わい |
| 格付け | メドック3級 |
| 栽培品種 | カベルネ・ソーヴィ二ヨン55%、メルロー40%、プティ・ヴェルド5% |
各ワイン評論家からの評価(★1点/☆0.5点)
| ロバート・パーカー (第4版) | ★★★★(4点/4点満点中) |
|---|---|
| ヒュージョンソン (第5版) | ★★★★(4点/4点満点中) |
| ル・クラスモン (2006年度版) | ★★(2点/3点満点中) |
| ゴー・ミヨー (2006年度版) | ★★★★☆(4.5点/5点満点中) |
ワイン好きな王として有名だったであったイギリス王ジョージ4世が、お気に入りのワインとして愛飲していたのがシャトー・パルメです。
初代オーナーであったパーマー将軍が破産してしまったため、一時は銀行の管理下に置かれており、1855年の格付けの際には3級に甘んじることになってしまいました。しかし、その一時期を除けば、常に他の1級シャトーと肩を並べるほどの高評価を得ていたことも紛れも無い事実なのです。
その畑は、【マルゴー】や【ローザン・セグラ】に隣接していて、ジロンド川に向かってゆっくりと傾斜しているという、マルゴー地区の中でも最高の場所にあります。そこで栽培された最高のブドウを、卓越した醸造技術を用いて、素晴らしいワインに生まれ変わらせています。
比率が高いメルローからもたらされる華やかな香りと、マルゴーらしい豊満なボディにエレガントな味わい。熟成が進むにつれて、タンニンが柔らかくなり、香りがより一層華やかになった時が真の飲み頃となります。
すでに伝説となった1961年を始めとして、このシャトーのオールドヴィンテージはどの年も非常に安定しており、常に高く評価されています。どなたにも、どんな場面にも、安心してオススメできるワインだと言えるでしょう。
シャトー紹介・醸造工程
批評家の評価も高い3級シャトー

- シャトーの正面。オランダ、フランス、イギリスの国旗が掲げられているのは、多国籍のオーナーたちのため
マルゴー地区の中心部にあり、格付けは3級でありながら、各批評家から高い評価を受けているのがシャトー・パルメです。パルメのブドウ畑は、900m離れたジロンド川に向かってゆっくりと傾斜していて、その土壌は、マルゴーの特徴であるギュンツ氷期の石英、水晶、玉髄などが混じった砂利質です。【マルゴー】【ローザン・セグラ】が隣接する、ブドウ栽培に適した適した場所に位置しています。
パルメの畑では、とても珍しい品種構成でブドウが植えられています。主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンが畑の55%を占めているのですが、他にも40%のメルローが植えられています。これがパルメのワイン独特のまろやかさを生み出す理由の一つとなっています。
残りの5%はプティ・ヴェルド。ワインに深い色とスパイシーな香りを与えてくれる代わりに、成熟するのが難しいのがこの品種の特徴ですが、96年まで残っていたカベルネ・フランを全て伐採して、全てをこの品種に植え替えたそうです。
今では珍しくなった混植された畑
パルメの畑の、1年目の樽貯蔵室のすぐ隣の区画では、ブドウの木に赤い目印がつけられているのが目に付きました。シャトーの方にその意味を伺ったところ、“メルローの区画にカベルネ・ソーヴィニヨンが混じっているため、収穫時期に混入しないように目印をしている”とのこと。
過去のボルドーでは、このような混植は珍しいことではなかったと聞きます。ボルドー産ワインが“ブレンドのワイン”と呼ばれるのも、こういった混植のためだという説もあるぐらいなのです。
しかし、現在のボルドーでは、品種別だけではなく区画ごとに醸造することで、ブレンドの際により良いワインのみを選び出す方法が主流となってきています。このため、このような混植をしている畑はほとんど見かけなくなってきました。しかしパルメでは、新しい畑ではもちろん混植はありませんが、古い区画の一部では敢えてこの状態を残しています。しっかりと目印をつけて区別しながら収穫を行えば、いいブドウが採れるのだから無理をすることはない、という考え方でしょう。
パルメの平均樹齢は「35年」ということですが、他のシャトーでも見られるように、ここでも大幅にブドウ畑の植え替えを行っているため、平均値が下がっているだけのことで、シャトー・パルメに使用される区画の平均樹齢はもっと高いのだそうです。
さらに、パルメの畑で特徴的なのは、「1ヘクタール当たり1万本」と、植樹密度を高くしていることでしょう。敢えて狭い場所に多くを植えることでブドウの木に競争をさせて、より地中深くまで根を伸ばさせるための工夫をしているのです。

- シャトー・パルメのすぐ正面にある看板です

- パルメの畑。シャトーに向かってゆっくりと上っているのが分かります

- 砂利質ですが、ポイヤック地区よりも砂が多く含まれています
常に改善を続ける
パルメでのブドウの収穫の手順ですが、まず120人の参加者が3週間かけて収穫を行っていきます。収穫されたブドウは、実が潰れないように10kg入りの収穫カゴに入れられ、それを積み重ねたトラクターで醸造所まで運ばれ、新しく導入された2列4台の選果台へと入れられていきます。
実は、2004年の収穫時期に訪問した際には、ブドウ畑の中で選果を行い、トラクターの荷台にまとめてブドウを積んで醸造所まで運んでいたのですが、この方法だと、上に詰まれたブドウの重みで下のブドウが潰れてしまい、タンクに入れられる前にブドウの果汁がボタボタと落ちている光景が見られました。
その時に、係りの方と「あれはかなりなロスになりますし、衛生上の問題も出てくるかも知れませんね」というようなお話をさせていただいていたのですが、2005年の収穫時期になると、醸造所のすぐ外に新しい選果台を設置するなど、それも改善されていました。
1回目の選果では、収穫時に混入してしまったブドウの葉、不良果、病果などを取り除いていきます。除梗機にかけられた後、取りきれなかった果梗や切れてしまった果梗を手作業で除く2回目の選果を行います。それから、ブドウを潰す破砕樹にかけて、ポンプを使ってタンクに送り込む仕組みとなっています。
最新鋭の“台形型”ステンレスタンク

- ステンレスタンクが並べられた部屋です

- 1995年に導入された“台形型”タンク。上が狭まっているのが分かりますか?
醸造所に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが、ピカピカに光った“台形型”のステンレスタンクです。以前は木製タンクを使用していましたが、1995年から入れ替えを行い、現在では「49基」を所有するまでに増えました。
タンクの数だけを数えてみると49基には満たないのですが、一部のタンクの内部が2層に分けられているため、合計すると49基になるのです。ブドウ畑が52ヘクタールであるのに対してタンクが49基と、ほぼ1ヘクタールに対して1基のタンクとなり、それだけ細かな区画毎の醸造を行っている証でしょう。
また「台形型」というタンクの形もユニークです。この型のステンレスタンクは最近導入され始めたものですが、現在のところパルメと【ラトゥール】が設置しているだけなのです。
このタンクの利点は、やはりその形にあります。元々、昔から使用されてきた木製タンクは、組み立ての構造上、ほぼ全てが台形型でした。時代はコンクリートのタンク、ステンレスのタンクと移っていったのですが、どちらも上部と下部の幅が同じの胴型です。つまり、タンクの型などそれほど重要視されていなかったのですが、最近になって台形型の利点が再発見されたのです。
アルコール発酵中には、炭酸ガスのためにブドウの実、果皮、種からなる粕帽が上に押し上げられるのですが、胴型のタンクでは粕帽の上部が乾いてしまい、異常な発酵が始まることがあるのです。しかし、台形型の場合、上部が狭くなっていて最上部までは上がらないため、果汁の一部が上部に残り、こうした弊害が防げるのです。
また、もう一つのメリットは、“ルモンタージュ”と呼ばれる作業中に現れます。これは、色素とタンニンを抽出するため、また酵母に酸素を供給するため、粕帽の上部を乾かさないようにするためといった目的で行われる、タンク下部からワインを抜き取り、ポンプなどを使って上部から粕帽の上にシャワーのように振り掛けるという作業のことです。
下部からワインを抜き取った際には、液面が低下するために粕帽が下へ下がってくるのですが、胴型のタンクの場合はその形状を保ったまま下がってきてしまいます。一方、台形型の場合では、下部に行くほど広がっているために、ちょうど粕帽がほぐされたような形になって、粕帽の全体に満遍なくワインが当たります。このため、より色素とタンニンの抽出がより効率的に行うことができるのです。
この台形型ステンレスタンクを使用して、28℃の温度で20日間のアルコール発酵と果皮浸漬を行った後、果汁を別のタンクに移しかえて、マロラクティック発酵を行います。
この工程が終了後、シャトー・パルメ用のワインは55%の新樽と45%の1回使用した樽に入れられ、3ヵ月に1度の澱引きと1回の卵白によりコラージュ(清澄作業)をしながら、約21ヵ月間の熟成を行っていくのです。

- 1年目の樽貯蔵室。この建物には空調設備はありませんが、壁が厚く、温度変化が夏でもほとんどありません

- 樽に入れられたばかりのワイン。炭酸ガス抜きなどの目的のため、上部は栓をせずにガラスの蓋を置いておきます

- 2年目の樽貯蔵室。2004年は非常に豊作だったため樽が3段に積まれていますが、通常は2段です
セカンドワインでは無い「アルテ・エゴ」
シャトー・パルメのワインがあまりにも有名な存在となっているため、その影に隠れてしまっている感じの「アルテ・エゴ・ド・シャトー・パルメ(“もう一つのシャトー・パルメ”の意)」。これに関して、シャトーの方に詳しくお話を伺ったことがありました。
私が「このパルメのセカンドは…、」と話を始めたところ、それを遮るように「アルテ・エゴはセカンドではありません」とピシャリと言われてしまったのです。
シャトー・パルメでは、1997年まで「ラ・レゼルブ・ド・ジェネラル」というセカンドワインを確かに作っていました。しかし、このラベルは消滅し、その代わりのように出てきたのがアルテ・エゴだったのです。何故セカンドだと認めないのでしょうか?
シャトーの方の話では、セカンドワインを作っていた1997年までは、全体の生産量の80%がシャトー・パルメになり、10%がセカンドワインに、残りの10%は“ネゴシアン”と呼ばれるワイン商に販売していたそうです。しかし、アルテ・エゴを作る際にこの比率を一変させて、シャトー・パルメが50%、アルテ・エゴが40%、そして10%がネゴシアンという割合にしたといいます。
つまり、1997年までシャトー・パルメに使用していたワインの中から、品質が悪いものではなく、早く飲み頃に達するであろうと判断されたワインをブレンドしたものがアルテ・エゴであるという自負の表れなのです。以前、セカンドワインを作っていた際に使用していたような品質レベルのワインは、そのままネゴシアンに販売をしているのですから、決して彼らはアルテ・エゴをセカンドワインとは呼ばないのだそうです。
一般的に、セカンドワインとは、“グランヴァンになれなかった品質が劣るワイン”ものというイメージがありますが、そう考えると確かにアルテ・エゴには当てはまらないことになります。アルテ・エゴに対しては、発酵前の低温マセレーションも行ってフルーティさを出すなど、独自のワインとして大事に育てているのです。

- グランヴァンであるシャトー・パルメのラベル

- “もう一つのシャトー・パルメ”アルテ・エゴのラベルです

- 広報のセリーヌさんと試飲をしているところです
一時は【マルゴー】を上回る評価も

- これはただの記念撮影ですね(笑)
67年~76年にかけて、【マルゴー】が不調に陥った際、シャトー・パルメはマルゴー地区のトップシャトーを誇っていました。現在はマルゴーの復活により、さすがにトップの座は譲ってしまった感はあるのですが、品質向上に向けた絶え間ない努力は素晴らしいものだと言えるでしょう。3級という格付け以上の実力を持ったシャトーであることは間違いありません。
シャトーの歴史
シャトー再建も格付けには間に合わず
1814年、フランスへやって来たシャルル・パルメ将軍は、マルゴー地区にあったシャトー・ド・ガスクを購入し、その名前をシャトー・パルメへと変更した。その後の1816年~1831年にかけて、彼はカントナック、イッサン、マルゴーの3つの村の土地を買い続け、合計163ヘクタール(その内ブドウ畑は82ヘクタール)にまで増やした。
1823年、パルメ将軍はエリザベス・アトキンと結婚する。アトキンの協力もあり、シャトー・パルメのワインをイギリスで広めることに成功、「パルメーズ・クラレット」としてロンドンのクラブで出され、ワイン好きであったジョージ4世のお気に入りともなった。
しかし1843年、パルメ将軍は個人破産をしてしまい、シャトー・パルメを手放すことになってしまう。うどんこ病が猛威を振るった1844年~1853年の間、シャトー・パルメは担保物件としてパリの銀行に管理されていた。
1853年、ロートシルトのライバルであった、銀行家のペレール家のイサック、エミール兄弟がシャトーを購入。その直後からすぐにブドウ畑の再管理が行われたが、1855年の格付けには残念ながら間に合わず、3級に格付けされた。現在のシャトーが完成したのは1856年のことだった。
現在は共同所有体制で
ペレール家は、フィロキセラやうどんこ病の蔓延、第一次世界大戦などの数々の問題からもシャトー・パルメを守ってきたが、1929年から始まった世界大恐慌のため、ついにシャトーを手放すこととなってしまう。
1938年には、ボルドーでワイン商を営み、オランダ、ベルギー、ドイツ、ロシアなどに輸出をしていたマラー・ベッセ、同じくワイン商で、イギリスへのを輸出を行っていたシシェル、ボルドーのネゴシアンであるジネステ社(同社は、現在はシャトー経営に関わっていない)、購入後シャトーの管理を行うことになるエドワード・ミアーイ氏らが、共同でシャトーを購入する。
1950年から、エドワード氏からジャン・ブッテイエ氏へと管理が移り、現在はジャンの息子にあたるベルトラン氏が管理を行っている。
シャトーデータ
主要データ
- Ch Palmer
シャトー・パルメ 33460 Cantenac - http://www.chateau-palmer.com/
- 格付け
- メドック3級
- アペラシヨン
- Margaux
- 総責任者
- S.C du Chateau Palmer

畑について
| 畑面積 | 52ha |
|---|---|
| 年間平均生産量 | 15万本(Palmer)、10万本(Alter Ego) |
| 作付け割合 | カベルネ・ソーヴィ二ヨン 55% メルロー 40% プティ・ヴェルド 5% |
| 平均樹齢 | 35年 |
| 植樹密度 | 10000本/ha |
醸造ついて
| タンクの種類 | 台形型ステンレスタンクを49基 |
|---|---|
| 樽熟成の期間 | 21ヵ月(Ch Palmer)、17~18ヵ月(Alter Ego) |
| 新樽比率 | 55%(Ch Palmer)、25~30%(Alter Ego)、フランス製のオークのみ使用 |



